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記者会見に臨む王毅・中国共産党政治局員兼外相=2025年3月7日午前10時、北京、藤原伸雄撮影
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 中国の外交トップを務める王毅(ワンイー)・共産党政治局員兼外相は7日、トランプ米政権に対し、「数年間の関税戦争で何を得たのか、見直すべきだ」と述べ、対中関税による保護主義政策を改めるよう求めた。

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 王氏は、5日から開かれている全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に合わせて記者会見した。

 トランプ政権が発足後に対中関税の上乗せを重ねるなかで中国側も報復措置をとり、「関税合戦」の様相を呈している。王氏は第1次トランプ政権以降の貿易上の対立を念頭に、「貿易赤字は縮んだのか? 製造業の競争力は上がったのか」と問いかけた。

 その上で、米中の経済関係は「互恵的だ」とし、「圧力をかけられれば、中国は断固として対抗する」と牽制(けんせい)した。

 また、「世界の全ての国が自国優先を強調したら、弱肉強食に逆戻りする」とも述べ、トランプ政権の外交姿勢を念頭に批判した。

日本に「熟慮」求める

 一方、日本との関係をめぐっては、「改善の前向きな機運を見せている」との認識を示し、日本産水産物の輸入再開をめぐっては、「法にのっとり適切に対処する」と述べた。一方で、歴史問題や台湾当局との関係で釘を刺した上で、日本側に「熟慮」や「善意ある行動」を求めた。

 ロシアによるウクライナ侵攻をめぐっては、これまでも話し合いを通じた解決を働きかけてきたと説明。「当事者の意思に基づき、国際社会とともに、引き続き建設的役割を果たしたい」と和平プロセスに関与する意欲を示したが、当事者が受け入れられる条件の具体的なあり方などについては言及しなかった。

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